サクラクトモノクローム

【切り絵】なぜ、私は私なのか【ポケモン】

映画館が好きで、よく観に行く

真っ暗闇な部屋、情報収集の癖もシャットアウト
迫力の画面に、視覚が
素敵な音響設備に、聴覚が
響き渡る振動に、深部感覚が

その空間に入り込むと、自然に研ぎ澄まされてゆく
自宅ではすることのできない、素敵な体験だ

今回は最近観た映画の一つ、
ミュウツーの逆襲 EVOLUTION” を観たお話

21年前に公開された初のポケモン映画のリメイク作であり、
脚本にポケモン商法もなく、
己の存在意義』という、フィロソフィなテーマある作品だ

  

 

 

―――此処は何処だ? 私は誰だ?

誰が生めと頼んだ?
誰が造ってくれと願った?

私は私を生んだ全てを恨む。 

だからこれは攻撃でもなく宣戦布告でもなく

私を生み出したお前達への――――――

 

逆襲だ。

 

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ミュウツー vs ミュウ

お互いに全てのポケモンを知る者

ミュウツーは、人間でもポケモンですらもない人造の自分に対し、
誕生して間も無く強烈な疎外感と孤独感を抱いた
それを埋めるためにも、
自分と同じようなクローンポケモンを作り、人間への逆襲を始める 

そんなミュウツーの、見えていた世界は、どのようなものだったのかを考える

一人で生まれ、一人で生きられず
自分の存在に戸惑い、慰めや抱きしめではない、綺麗な心で生きていけなくて

ミュウツーは、ミュウのコピーではあるが、コピーの元であるミュウではないのだ

例えば、ミュウツーの目を通して見える世界は、ミュウが見える世界ではない
産まれた時点で、最初から、ミュウツーは、ミュウツーとして、一つの『個』そのものである

 

なぜ、私は私なのか

当たり前のことであり、人生の中でふと浮かぶ問いのひとつ
意識の超難問 高度な自己意識(自我体験)

解答の候補の定説はいくつかあるが、正解という解答には至っていない議論

 

ミュウツーは、生まれる前にあった世界の全てを圧制して、
自分と言うものの存在意義を確立しようとした

けれども、
ポケモンたちが、信じることの儚さを光に変えて

「この世に生まれた」

簡単で、でも難しい、ただそれだけの理由で

この世に生を受けたサガとして、生きていかねばならぬと
何者でもない自分が、自分という存在を認め、
ミュウツーはこの世界で、生き続ける決意を決めた

劇場内では、大人子供関わらず、沢山の人が咽び泣いていた
私もその一人。今も、21年前も、きっと同じ理由で泣いていただろう

自分と言うものの存在意義の答えを見つけることはとても難しく、悩ましい問題だ
だが、それと対面させ、答えを求め続ける姿勢を与える本作の影響力は、21年前の私にクリーンヒットした
私は、どうして私なのだろうか。生きて続けて、どうするのだろうか
自我が大きく成長する、一つの要因となっただろう
世界に生まれた全ての生き物に優しいポケモンの世界観は、とても大好きだ

 

ミュウツーの逆襲は、ポケモンを知らなくても楽しめる作品であるため、
ミュウツーの葛藤と、ポケモンの優しさに興味を持ったのなら、是非観てみてほしい

また、去年公開されたポケモン映画"みんなの物語"も
ポケモン映画では珍しい群像劇として、
サトシだけでなく、登場人物みんなが主人公の、
一人の行動が皆に繋がる、非常に楽しい作品となっているのでオススメだ